カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

Chained Echoes メインストーリー感想

メインストーリークリアまでのネタバレを大いに含みます。

 

 

・タイトル回収
グレンの中のいくつもの記憶の残響が「つながって今に至ること」
同時に過去や今の過ちに「束縛されていること」
どちらも「Chained」が表現してくれるのがあまりにも美し過ぎる!
過ちに囚われて自身の足を引っ張る存在として子どもたちの幻影が出てきて、それらが後々「彼方の残響 / Chained Echoes」として自身の記憶の中で仲間たちの前に立ちはだかる展開、JRPGの教科書にのせて語り継がれるべき。邦訳が直接的でない「彼方の」になっていてこの2つの意味をほのかに感じられる程度にとどまっているの、めちゃくちゃいい仕事だと思う。

タイトル回収は割と近代的な要素で過去のRPGに求めすぎるのは酷と理解しつつも、タイトル回収戦闘力はJRPG随一では?クロノトリガーも回収された時はおお~ってなったけども。

 

・グレンとビクター
はい、実質ゼノギアスのフェイとシタンです。「師弟・友・親子」が全部入りってよくよく考えると凄いな。
ビクターが普通の人間より遥かに長く生きる種族というファンタジー要素を実に上手く使っている。この立ち位置って「お前全部わかってんなら最初から喋れよ伝えろよ」というツッコミに対処できない脆弱性がよくあるんだが、「前世の記憶が一気に流れ込み処理しきれず昏睡してしまったことがある」という設定でその穴を塞いでおりえらい。そしてビクターが劇作家という設定とこれまで見てきたグレンのいくつもの人生が元ネタというところにつながるのも含め、話作りがうまい。

 

・グレンとレニー
はい、実質ゼノギアスのフェイとエリィ…かと思いきやそれがミスリードという手の込みよう。当然「前世」がキーワード。
主人公とヒロインの記憶が後世に受け継がれ巨悪の復活に備える王道前世ものか~と思わせておいて、実は「自分をティモシーだと思いこんでいた別人」なの、どこをどう切り取ってもゼノギアスFF7の間の子で笑ってしまった。
メイルストロムの存在など世界の理をメインストーリー中でしっかり小出しにして定着させるのがまたうまい。「国家を追われたマッドサイエンティストの異常実験」で魂を別の物体に定着させて云々って辺りは一体何の錬金術師なんだ…と笑ってしまったが。

 

・グレンとキリア
はい、実質FFTラムザディリータです。TOVのユーリとフレンでもいい。お決まりの「理想主義vs現実主義」であり、「自分たちが生きていく世界」が対象。

この2人の結末は正直賛否わかれる点だろうな〜。俺は「やりたいことはわかるし悪くないと思うが、そのせいで後半のグレンのキャラがブレたのも否めない」という感想。オーメンとの戦いに備えなければならない運命による"束縛~Chained~"からの解放をラストで描きたかったんだなというのは大いに伝わってくるんだけども。

世界を守る決意はしても、ガウェインの役割を任された途端に日和って結局キリアに託しちゃうところ、グレンは成長しているのかしていないのかって感じで非常にモヤるところであり賛否分かれる部分だと思う。

序盤から中盤にかけてグレンはず~っと優柔不断な感じで、何やっても結局裏目みたいなとこもあり、実際中盤~後半で1回心折れてるわけで。どんだけ前向きになったところで物語途中で死にたがってた豆腐メンタルマンなので、ヴェーンから人間を解放するというところまでは頑張れたけど、ラストバトル付近のやり取りで「俺には荷が重い」「キリアならやってくれるんじゃないか」に傾いちゃうのもまあわからんでもないかな。


・レニーとフレデリック

「理想主義vs現実主義」の「国家の治め方」編。

結末は正直あまり予想しなかった方向性だった。設定上の具体的な年齢はわからんけど、命を賭して狂王の独裁を演じ、自らが姉に討たれることで三国の結束を狙うの、若い外見にそぐわぬ大層な深謀遠慮ですね。その結果の姉からの言葉には同情もありつつも「でもお前たくさん人殺したから流石に許されんで」なのは笑った。


シエナとラファエル&エヴァ

「理想主義vs現実主義」の「属する組織」編。

それぞれの関係性はまあ予想通りの味というところなんだけど、ラファエル単品でなくそこまでに出てきたNPCと絡ませて話をひとつ作った上で加入させるのがうまい。

最初は見てくれと「双剣」というオイシイ要素からしてこれはエヴァが仲間になるだろと思ってたけど、冷静に考えると装備品に双剣無かったわ…。

こういう関係性を散りばめつつ、しっかり国家間の戦争を描いていて、ストーリーの節目で「まとまった時間の経過」や「戦争のあらすじ」を地図見せながら語るのはもうタクティクスオウガなんよ。

 

・アマンダとバトラス
意図せず「悲運」を共有することになる2人、そこに共通して関わってくる「仮面の男」。これは何剣伝説?
癒やしの力を与えられたが代償として寿命の大半を奪われたアマンダと、金属を操り戦う力を得たが代償として四肢(と結果的に息子)を奪われたバトラス。思ってることと口に出しちゃうことが食い違っちゃう、ひときわキャラクター性が強い王女アマンダ、「え?加入すんの?」となったくらいには唐突だったけど、その後境遇が掘り下げられ他キャラとの共通点も用意されててよかった。
とはいえこの2人はプレイアブルキャラの中でも正直ちょっと浮いてるというか若干サブ寄りで終わったのも否めないかな〜。結局仮面の男はヴェーンの差し金なんだっけ?見落としがあったかもしれないけど納得できずに終わってしまった。

 

・ロブとエギル
王宮では人権なし小間使いだったロブ、王女と二人で外界に出て以後イキリ散らしマンしてるの醜くて逆に最高だけど、この調子で仲間に居続けるの流石に異常者レベルが高すぎんか…と思ってたところにちょいちょい心境が変わるエピソード入れてきて、エギルを手本にし真人間になっていく。
この2人のテーマは「憎しみ」で、境遇は似てるのにそれとの向き合い方が対極的ゆえに、ロブからエギルへ興味を示す流れがとても良い。そしてどんだけ後から加入したキャラでもただついてくるだけにならず、こういう見せ場やストーリー上の役割がある辺りが「FF6っぽさ」なんですね~。メインキャラたくさんいてもぞろぞろついてくるだけになっちゃってる脚本書いてるア○ザーエデンの加藤○人さん、こういうとこですよ。

 

・世界観その他全体の話
オーメンという巨悪を封じたヴェーンと人間、ヴェーンが調子に乗っちゃって実質神のごとくふるまい始めて何回も人間の世界をリセットして進化を止めてる構造、アンデッドアンラックっぽさがある。良い。

結局オーメンの復活に備えるところはエンディング後に投げられたけど、そこまでじっくりやっちゃうと流石に長過ぎるし、急に復活させてもFF9ペプシマンの二の舞だろうから、これくらいがちょうど良いのではと思う。

開発者インタビューによるともう出し尽くしたらしいけど、一応続編に期待できる形だし。

 

今更ながら主人公が「グレン」なの、直球でクロノシリーズ好きを表現しすぎだろと最初笑ってしまった。
ゼノブレイドやってると後から「エギル」が出てくるのも面白い。