カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

Chained Echoes

プラットフォーム:Steam
ジャンル:RPG
評価:10.0/10.0

90年代テイストを踏襲したJRPGSFC~PSのRPGから大いに影響を受けつつも、決して各種要素の「懐古」だけでまとめておらず、遊び心地も「古典的」で立ち止まっていない、本当に素晴らしい出来栄え。

良し悪し様々感じたものの、それでも個人的には「90年代黄金期の先に夢見た2D-JRPGの未来」がようやくここに顕現したと言っても過言ではないくらいの傑作と評したい。

 

よかったところ

  • 各種システムが徐々にアンロックされていくが決して出し惜しみはしていないと感じられるテンポの良さ。
  • ストーリー・演出面ではクロノトリガーゼノギアス、育成&強化システム・探索面ではゼノブレイドがベースにあると感じるが、それらに倣うだけではない一定のオリジナリティがある。
  • 出自も境遇も違うキャラクター達に「協力することになる動機」がちゃんと用意されており、それがメインストーリー中できちんと表現され、キャラクター間の関係性も変化・深化していく物語。
    オクトパストラベラーに対して「なんでこいつら無言で協力することになってるわけ?」とまったく納得せず評価もしていない面倒オタクもこれにはニッコリ。JRPGのストーリーの王道的「構造」がここにある。
  • バトルのオーバードライブシステムが非常に秀逸。キャラが行動したりダメージを受けるとゲージが溜まっていくが、閾値をオーバーするとダメージ増のペナルティあり。戦闘中に移り変わる指定種別のスキルを使うことでゲージを下げることができ、ゲージ管理をしながら戦う。オーバードライブ状態だとスキルの消費TP半減・被ダメージ減少など恩恵がかなり大きく、拮抗した敵とは雑魚戦であっても様々なスキルを総動員するバトルが楽しめる。
  • 育成はボスを倒すごとに手に入るスキルポイントを割り振る形式で、アクションスキル・パッシブスキル・ステータスのどれに割り振るかを選べるものの終着点は同じ。しかしキャラごとにどの種別のスキルを得意とするかはハッキリしており、そこにキャラに装備させることとなる「クラス」の概念が混ざってくるビルドが楽しい。スキルはレベル3でマスターとなり最大の効果を発揮するようになるが、クラススキルをマスターするとクラスの装備を外しても永続的に習得となり、通常スキルとの兼用枠2箇所へ装備できる。誰にどのクラスを装備させ何を優先的に覚えさせるかなど育成計画を含めた面白さがある。
  • 宝箱や隠し通路を見つけるのが主ではあるものの、そこそこの広さのマップを探索する楽しさ。若干配置が少ないと感じるもののファストトラベル機能あり、中盤以降でマップ内の快適な移動手段の増加ありでほぼノーストレス。これと戦闘ごとに全快する仕様も相まって、回復アイテム管理や一度の探索でのリミットの見極めなど古典RPGにはありがちだったリソース管理が必要ないのもよい。
  • サイドクエスト・収集・シンボルエネミーなど、探索や一部戦闘にかかわる実績は全て「報酬ボード」に集約されておりワンボタンでいつでも確認可能。また隣接したマスを達成してつなげることでさらなる報酬を獲得できるチェインシステムも秀逸。これにより「どのマスから達成していくか」がちょっとしたパズルになっておりモチベーションにつながる。
  • 豪華すぎずチープすぎもしない絶妙なさじ加減のBGM。90年代を想起させる曲調のもの多し。

 

微妙なところ

  • 日本語訳と日本語フォントの表示はハッキリ言ってクオリティ低め。様々なゲームのローカライズ・カルチャライズを見てきたがお世辞にも総合的に良いとは言えない。
    Brotherが兄なのか弟なのかブレている、類似効果のはずの同種スキルの文章がそれぞれ異なっていたり「TP≒技術ポイント」といった表記ゆれがあるなど各種説明文にまったく統一感がない、他キャラのものと思しきセリフが異なる口調で誤訳されており男性キャラが突然オネエ言葉になったりする、文字が重なって読めない・読みづらい箇所あり、会話周りは流石に無いがHUDやメニュー内に未翻訳の文章あり、タグが処理されず丸出しになっている箇所あり、画面内に文章が収まっておらず見切れている箇所あり、などなど割と悲惨。
    訳に関してだけ言えば良いところもあるのがまた惜しい。正直もっと売れてちゃんとしたところにカルチャライズレベルでしっかり再翻訳してもらってほしい。
  • 翻訳はアップデートで色々と修正されたようなので2023/09時点では心配無用のはず。アップデート前の不具合をちょっとしたネタとして昇華している遊び心まであります。
  • スカイアーマーでのバトルが若干大味。通常戦闘と比べると装備のビルドの多様性もあまり無く、オーバードライブシステムのゲージ管理もやや深みに欠ける。
  • 装備品やそれを強化するクリスタル周りのUIが微妙。外した装備品からクリスタルを一括で外させてくれとか、スカイアーマーの装備をいじりながら使えるスキルの一覧も見せてくれとか、クリスタル多すぎフィルタリングやソートをさせてくれとか、数十時間遊んでいく中で「こういうことができたら楽なのに」と感じるような痒いところに手が届かず面倒なシチュエーションがちらほらある感じ。とはいえ個人的には遊べないレベルではなくギリギリ許容範囲。遊びのコアであるバトルと探索が面白いから許せている感も正直ある。

 

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