カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

プラットフォーム:Nintendo Switch
ジャンル:アクション
評価:10.0/10.0

ゼルダの伝説」として当たり前を見直したブレスオブザワイルドの世界に、ゼルダの伝説らしい要素やシリーズ最高峰のストーリー・演出が搭載された。

ストーリーを主食とする筆者にとって、ゼルダの伝説シリーズ最高傑作と言う他ございません。過去最高に「ゼルダの伝説」でした。

 

「過去を読み解く」構造を踏襲しつつボリュームアップしたストーリー

ブレスオブザワイルドとティアーズオブザキングダムで、ストーリーの語り方として共通しているのは「過去に何が起きたか」を断片的に開示しそれを集めさせ読み解かせること。

ブレスオブザワイルドではウツシエを通して、リンク・ゼルダ・英傑達のエピソードの補完が行われた。過去に起こった大きな出来事は明白であり、その周囲の余白を埋めてくれることで、薄味ながらも良質なストーリーが展開されていた。

ティアーズオブザキングダムも過去を読み解く形は同様だが、ハイラル王国建国当時に何が起こったのか、主要キャラたちが何をしたのか、何が起こったのかはある程度謎めいた状態であり、前作より遥かにわかりやすくなった地上絵集めのメインチャレンジ「龍の泪」を通してその全貌が明らかになる。

このように構造は同じでも見せられるものは全く異なり、メインチャレンジを完了して全てを明らかにしてもなお「どのような結末を迎えるのか」はゲームクリアまでお預けとなるため、ブレスオブザワイルドと比べて明らかにストーリーや演出の比重は増し、質も向上している。

 

前作以上に広大な世界に上乗せされる「ゼルダの伝説らしさ」

正直なところ「ブレスオブザワイルドと同じく4つのダンジョンを巡ってラスボス倒して終わり」くらいのものがまた出てくるのではないかと想定していたが、前作を踏襲する構造はあくまでも本作の一部分に過ぎなかった。詳細は自分の目で確かめて欲しい。

ここでは特に、その4つのダンジョンがどのような要素で構成されているのかという話をしたい。

ブレスオブザワイルドではダンジョンに入るまでにNPCとのやり取りやちょっとした謎解き、ダンジョンに突入する前に各地ゆかりの仲間と協力してのミッションが存在していて、ダンジョンに突入後はコンパクトなダンジョン内のギミックを操作し数ヶ所の目的地に到達、その後出現するボスを撃破する、という構造だった。

ティアーズオブザキングダムは「ダンジョンに突入前も突入後も、前作から通じて各地に縁あるキャラと協力することになる」のと「ダンジョンが神獣という存在に限定されていないため立地・規模・ギミックがユニークになった」という2点において前作と大きく異なっている。それぞれで仲間と協力するのは「ダンジョン1つごとに1つ新しいアイテムが手に入り、それを駆使して攻略する」という旧来ゼルダの構造に実質的に等しい。

ダンジョンそのものの充実度は、64~GC頃のゼルダのダンジョンギミックが至高であると考えている身にとってさすがに物足りないと言わざるを得ないが、ブレスオブザワイルドよりは遥かに各ダンジョン到達~探索の満足度は高かった。

 

自分だけの物語体験ができる自由度高いメインストーリー構造

4人の仲間+α、マスターソードの在り処、ガノンドロフの居場所という複数のメインストーリーラインが存在し、それらに関わる情報をどのような順番で得ていくか(あるいはそれを得ずとも自分で探し当ててしまうか)、どのような順番で攻略していくかによって「自分だけの物語体験」が生まれる構造になっていると言っても過言ではない。

これは筆者が史上最高のゲーム体験だったと2023年時点で確信している作品「Outer Wilds」に構造が近い。それでいてメインストーリー関連の導線は手厚く用意されていて「次何をやればいいのかわからない状態」はほぼ発生せず、プレイヤーを突き放すような仕組みには決してなっていないはず。プレイヤー固有の体験が生まれるような幅広さを用意しつつも、大勢に楽しんで貰うための仕組みも両立しているこの構造、あまりにも見事。

余談だがゾナウは英語だと「Zonai」であり、知的好奇心・技術力が高く3つ目でヤギに似た種族であるところ、Outer Wildsの「Nomai」とめちゃくちゃ重なるので流石にこれは意識していたりするんじゃないだろうか…。

シリーズ最高と言って間違いないラストダンジョン~ラストバトル~エンディングの盛り上がり

詳細は以下で書いたり語ったりしていますので、クリア済の人だけどうぞ。

www.youtube.com

 

その他の要素を含め良し悪しを箇条書き。

よかったこと
  • ゼルダの伝説らしさ」「ブレスオブザワイルドに縦軸を加えて拡張した広い世界」「知ってさえいれば開始数時間でラスボスも倒しに行くことも可能な、前作同様の高自由度」「自由度の中にプレイヤーを放置しない、充実したメインチャレンジ導線」「展開や結末が気になるくらいには厚みのあるメインストーリー」、これらを全てまとめて実現した離れ業、それによるゼルダの伝説最新作としての圧倒的完成度
  • ゲームにおけるいくつもの「お約束的盛り上がりポイント」を抑えたラストダンジョン~ラストバトル~エンディングの盛り上がり
イマイチだったこと
  • マインクラフトにハマれなかった性質なので、ウルトラハンドでの工作が中心に据えられた謎解き・クラフトは、最初のうちはともかく時間を経るごとに面倒になっていった
  • スクラビルド、足元の素材を対象にするのが面倒すぎる メニューからもやらせてくれ
  • せっかく空から地上を一望できるようになったにも関わらず、地上の祠が洞窟内に隠されてばかりでストレスフル
  • オマケにその洞窟が延々と岩破壊を強いてきたりするので、バクダン花やゾナウギアなどのリソース消費無しで破壊しようとすると賢者の盟約能力に頼ることになり節約志向プレイヤーにとってはテンポが悪い
  • 賢者の盟約能力、キャラと重なってAボタン押下という半端な発動条件のために、発動したくないのにしてしまう時、発動したいのになかなか出来ないときがあり扱いづらくOFFにしがち (そして前述の採掘作業がますます面倒になる)

 

www.nintendo.co.jp