カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

The Cosmic Wheel Sisterhood

プラットフォーム:Steam
ジャンル:アドベンチャー
評価:6.0/10.0


流刑となった魔女フォルトゥーナとして占いを通じて未来を創造するアドベンチャーゲーム

空気・土・水・火の四元素を消費してカードの部品を選び、タロットカードを作り上げていく。作ったタロットカードはデッキとなり、物語を進める中でフォルトゥーナが占いを行う場面ではそこからカードを引き、タロットカードの構成部品に込められた要素に応じた選択肢だけを選べるというシステムがユニーク。

フォルトゥーナの占いがどんな力を持っているのか、魔女とはどのような存在なのか、魔女たちの共同体「コヴン」の未来はどうなるのか、スピーディに語られつつカードを増やし占いも繰り返していくので飽きずにどんどん読み進められる。

大枠のストーリーラインは決まっていそうなものの、プレイヤーの選択に応じて結末は大きく変わるタイプのゲームのようで、自身の価値観に基づいて遊ぶことを推奨したい。

一方、プレイヤー自身の選択に大きな責任がつきまとう構造であるにも関わらず、フォルトゥーナの言動がそれについてきてくれないと感じることが多々あったのは気になった。

また分岐を網羅したいがために何度も遊ぼうとするとメッセージ表示の遅さや既読スキップ機能が無い点はあまりにも致命的。他のゲームで例えるとデトロイトビカムヒューマンなどにも同様のことが言えたが、「プレイヤー自身の選択による一回きりの体験」を重視したい思想は理解できる。しかしそれでもゲームに選択肢が用意されているからには、全てを目にしたいと思うのは一部のプレイヤーが確実に望むこと。既読スキップなどの機能を実装しないのはそのようなニーズにまったく寄り添っておらず流石に不親切と言わざるを得ない。

ユニークなシステム、美麗なピクセルアート、雰囲気あふれるBGMなど良い部分もたくさんあるが、「自身の価値観をゲームへ投影し切ろうにも、キャラクターという器がそれを邪魔してくる点」と「アドベンチャーゲームとして必要十分な機能を備えているとは言い難い点」がハマりきらず、不完全燃焼感も否めなかった。