カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

タクティクスオウガ リボーン

プラットフォーム:Nintendo Switch
ジャンル:シミュレーションRPG
評価:9.0/10.0

戦略シミュレーションRPGの金字塔、二度目のリメイク。

民族紛争という重厚なテーマ、プレイヤーの選択によりダイナミックに分岐するシナリオ、戦乱を駆け抜けるキャラクター達の信念と生き様の輝きは今なお色褪せない。

近年、脚本都合でキャラの脳みそが突然空っぽになり薄っぺらい台詞を出力し続けるようなシナリオのコンテンツにウンザリさせられ続けているので、こういうゲームにちょっと優しくされるだけでコロッと感謝の気持ちが溢れてしまいます。

前回リメイクの運命の輪において主にキャラクターの成長周りのシステムが原作からかけ離れた不可解かつ面倒なものへ変更されていたのに対して、今作は比較的わかりやすい内容に仕上がっている。

しかしながら「このリメイクを誰に向けているのか」は、ややボヤけていると言わざるを得ない。

具体的には「戦闘中に湧くバフカードというランダム要素の存在」と「レベルキャップにより調整不可能な難易度」の2点。

バフカードはフィールド中にランダムで発生し、獲得すると戦闘中のスキル発動率・クリティカル率・攻撃力などを一時的に向上させる。この効果量はかなり大きく、立ち位置や敵との距離感などの積み重ねがじわじわと戦局に影響するような遊び心地を期待するシミュレーションRPGの戦闘に対し、過度なランダム性をもたらしている。遡ればFFTAファイナルファンタジータクティクスアドバンス)の頃から変わらず実装されているとも言えるのだが、そのような要素が実装されていて嬉しいものかと言うと、少なくとも自分はそうではない。

レベルキャップに関しては逆に「シミュレーションRPGに不慣れな層へのお手軽救済措置が無いこと」が懸念点。これがあることで敵はどうあがいても格上の強さとなる。無論、それをどう攻略するか考えるのもシミュレーションRPGの醍醐味のひとつなのだが、あくまでも遊び方の一部であり、現代にこの作品を蘇らせるのなら、レベルを上げて戦闘を楽にこなせる選択肢も取れて良かったのではないか。

バフカードもレベルキャップもON/OFFが切り替えられる仕様になっていれば…と思ってしまう。常時切り替えとは言わずとも、せめてニューゲーム時にそれぞれ選択する形式で…。

そのような原作プレー済視点での微妙な点はありつつも、AIが賢く演習でのレベル上げやダンジョンでのアイテム収集が非常に楽というプレイアビリティの向上、再録されより重厚となったBGMなど、それ以外に評価できる点は多い。若干難易度は高めだが、これまで同作を遊んだことのない人はこの機にぜひチャレンジしてみてほしい。

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