カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

XenobladeXファーストインプレッション

20時間程度遊んだ現時点の感想としては「前作同様の王道RPGを期待するべからず」といったところ。

面白いことには変わりないのだけど、面白さの軸となる要素がだいぶ異なっている。 前作Xenobladeはある程度一本道のストーリーがあり、そのメイン要素をいつでも進めることが出来る一方で、フィールドを駆けまわって探検したりクエストをこなしたりというサブ要素が膨大な数用意されていた。 このサブ要素が今作ではメイン要素を進めるためにある程度こなす必要があり、そもそものゲームの仕組みが異なっているのが大きな違いとしてある。

Xenobladeは「冒険」を楽しめるゲームで、XenobladeXは「探検」を楽しめるゲームだと感じている。

良いところ

圧倒的に広大なフィールドを自由に走り回る開放感

「惑星1コまるごとつくる」というコンセプトの通り、凄まじいフィールドの広さ。 街、洞窟は勿論のこと、5つに分かれている大陸の継ぎ目、全てがシームレスとなっており、移動中におけるフィールド切り替えの画面暗転やロード時間などは一切存在しない。 移動もダッシュあり、オートダッシュあり、ストーリーをある程度進めればドールというロボットに乗って人間の数倍の速さで駆けまわることも出来る上、前作から踏襲されているスキップトラベルにより、一部の拠点へ瞬時に移動することも出来、広すぎる事に対して不便を感じることは何一つ無い。 オープンワールドをウリにしたゲームの出現は最近に始まったことではないし、他のゲームでも楽しむことは出来るが、とにかく広大で継ぎ目の無い世界をSF系のノリで探検したいという人はそれだけでもう買って損はしないと思う。

エストのサポート機能の充実

前作Xenobladeではクエストをこなす際、クエストの関係キャラ名だけが書かれていてもそのキャラが昼にいるのか夜にいるのか、さらにはどこにいるのかが非常にわかりにくく、ノーヒントではクエスト1つをこなすだけでもかなり時間を要することが多かった。 これに対して今作は一部のクエストやアイテム収集の場合などを除き、クエスト進行のために話す必要のあるキャラの位置やイベント発生地点は全てWiiUゲームパッドのマップ上に表示される。 アイテムの売却額がかなり低く設定されており、お金を稼ぐ効率の良い手段もクエストの攻略となっているためありがたい。

イマイチなところ

キャラとストーリーの魅力が希薄

キャラの顔のデザインに妙な違和感を感じる。 特にメインキャラの一人のリンの目が不気味な日本人形のようで不安を煽る。 オッサンキャラの造形は割とちゃんとしていると思うが、女キャラの魅力は正直薄い。

また、未知の惑星の探索が主である以上仕方ないことかもしれないが、前作ほど惹き込まれるようなストーリー性はなく、サブクエをこなしてメインストーリーを進める条件を満たさなければいけない点も興を削がれる一因となっている。 個人的になんだかなあと思うのは、メインストーリーの序盤の数章は前述のリンが呑気にお料理をするところから始まるという誰得イベントによる緊張感の無さ。

これからもっと魅力的なストーリーが語られていくのかもしれないが、正直なところ8章を手前とした現時点で若干ウンザリしてきている。

澤野弘之サウンドの説得力

ハッキリ言ってしまえば「この人にしかXenobladeXの曲は書けない」という説得力を全く感じない。

今となってはブレイブリーデフォルトを手がけたRevoの仕事ぶりと比較してしまう以上、どうしてもRPGのサウンドに対する評価が辛くなってしまうことは申し訳ないのだが、良くも悪くも「映画・アニメに汎用性の高い澤野弘之サウンド」をこのゲームにも当てはめてみました、という枠を出ていない印象。 妻曰く「アルドノア・ゼロの曲と入れ替えられても多分気付けない」とのことで、これはもっともだと思う。

勿論曲のクオリティは高いのだが、じゃあこのゲームを終えてしばらく経った後で再び曲を聴き返した時、その曲達はゲームで体験したことを思い出させてくれるか、余韻に浸らせてくれるか?という問いかけをされたらば、ノーコメントとしか言い様が無いだろう。

前作Xenobladeにあって今作に無いものとしては、ここが決定的であるように個人的には感じる。

個々の素材はとても良いが何かが足りない

惑星まるごとフィールドという広大さや、前作のシステムを更に洗練・昇華した成長・戦闘関連のシステム、前作よりさらに数を増したクエストによる様々なキャラクター同士の物語など、個々で見ればとてもよく作りこまれているし、昨今のRPGの中では軍を抜いた完成度だと現時点でも確信出来る。 しかし個々の素材が完成しており洗練されていようとも、「思い出に残るゲーム」が醸し出す魅力というのは、決して素材の良さだけから生まれるものではないということも、また同様に確信してしまっている。 そういうゲームにある一体感は今のところXenobladeXからは感じられておらず、「惑星というフィールドの上に色んなものを詰め込んだごった煮感」しかないのが非常に残念だが、ゲームクリアまでに少しでも評価が好転するような要素に出会えることに期待して、この場は筆を置くことにします。