カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

ゼノブレイド2 クリア後感想

※一部表現が過激な箇所があったため修正

総括すると、あまりにも良い所と微妙な所の落差が激しすぎるゲームでした。 コレクターズ・エディションを所持しておきたいとも思えずあえなく売却したものの、ゼノブレイドというシリーズを語る上では決して外すことの出来ない作品と言える要素もあったため、思い残しの無いように感じたままを書き連ねます。

以下クリア後のネタバレを大いに含むため注意

 

ストーリー

2.0 / 10.0

一言で言うなら 説得力不足

ホムラに対するセイリュウのセクハラ発言やニアの亀頭発言などくだらない下ネタがメインストーリー中に普通に入ってくるのは本当にどうかと思う。

そういったくだらない会話も含めての、歩いてはムービー、歩いてはムービーの繰り返しにはウンザリ。

百歩譲ってそれらに目を瞑っても、あまりにもご都合主義的展開が過ぎる箇所が目立つ。ここでは特に気になった二点について言及する。

 

ひとつ目。第七話の最後、ホムラが覚醒するシーン。囚われの身となりメツに天の聖杯としての情報を抜き取られてしまい、彼曰く「良くて廃人」の抜け殻となってしまったホムラ。何故かレックスの呼びかけに何事も無かったかのように呼応し真の姿へ覚醒する。

 

意味がわかりますか?

→いいえ

 

レックスは第三の剣を手に入れたものの剣の実体はなくなりアデルによる「ブレイドを信じてやれ」といった抽象的な助言を貰ったに過ぎない。仮に何かしらの力がレックスに与えられていたとしてもそれは「同じ天の聖杯によって抜け殻にされてしまったホムラを蘇らせるに足るものだったのか?」と考えても、少なくとも作中の描写でそう納得するに足る説明が充分にされているとは言い難い。

私の記憶(かあるいは思い出だったかはあやふやだが)を奪わないで!とまで言っていたホムラに対してメツが手心を加える理由も当然ない。

ブレイドの事を信じると決めたレックスの力が奇跡を起こした」というには説得力に欠け、無理があるように思える。

フィールドスキルを使う際に「構造計算中…いけるわ! → いけない」となってしまうヒカリ同様、メツも詰めが甘く実は廃人にしたつもりが人格を抜き取り忘れるというドジっ子な一面があるということを暗に示しているのだろうか。

 

ふたつ目。エンディング。自分の残りの力で世界を救う選択をしたホムラ・ヒカリと涙の別れかと思いきや、最後の最後でなんとなんとホムラとヒカリそれぞれの姿で別々に復活!

 

ご都合主義的展開もいい加減にしろ!!!!!!!!!

 

ホムラはこれまでずっとレックスと自分のあり方について悩み続けてきて、レックスが自分を信じ抜いてくれるようになり、楽園に辿り着いて自分のすべてが明らかになり、その果てに自分が犠牲になってでも「レックス達の世界を守りたい」という意思でもって、最後に初めてレックスにウソをつき、レックスは出会いからの別れを経験して大人になっていくというボーイミーツガールジュブナイル…うーんまあ粗だらけだけど最終的には悪くないんじゃn とか考えていたらあああああああああああなんなんだこのオチはあああああああああ!!!!!

ホムラはクラウスの力の残りを貰ったという事だったが、それを使ってこんなことが出来るならそもそも別れなど演出する必要もない。そしてその力も「扉(ゲート)」によるものという説明が作中でされており、ホムラはアイオーンに残りの力を注いでアルストを崩壊から救い、扉は閉じた。その後の世界で「ホムラとヒカリが別々に復活する」などという事象が起こる事にはもはや何一つ根拠が無い。

 

そしてエンディングの後のタイトル画面で

レックスとそれぞれ手を繋ぐホムラとヒカリ…。

 

ただただ嘔吐です。

 

これをジュブナイルと呼ぶなら思春期のボーイズアンドガールズをバカにしすぎではないか。

もしかしたら世界の記録は全部ホムラ・ヒカリ側に持っていって、自分たちの記憶と記録だけはレックスに分け与えたもしくは渡した側のクリスタルに転移させていたという話なのかもしれないが、それは戦闘中に目視出来るキズナが届く範囲でのみ可能と考えるのが妥当だし、アイオーンを使って世界崩壊を食い止めるなどということがオートで出来るのか?という疑問は払拭しきれない。

これがもし「途中で呼び名を選択した方の人格だけを別れの直前に前述の方法で避難させており、選択した人格だけが最後に復活。選択されなかったほうが犠牲になって世界を救った。」という結末で、納得できる描写もあったとしたらもう首が折れるほど頷いて他の不満点全てに目を瞑ってゼノブレイド2は良作であると言い切っていたと思う。

第七話の最後の覚醒も身を挺してレックス達を庇った際にレックスに分け与えたクリスタルに転移していたという設定と描写があったなら何とか話は通じなくはないのだが、残念ながら記録と記憶を取られそうになっているホムラとメツの精神世界でのやり取りが描写されてしまっている以上それは通らない。

 

細かい事を気にしない人なら楽しめたのかもしれないが主にこの二点から自分は冒頭のような評価を下さざるをえなかった。

(余談だが兵頭一歩が脚本として参画してからのゼノブレイドのストーリーはあまりに粗が目立つのでそういう事なのではないかと思っている。)

※自分の理解が足りていなかったり、サブクエ等で実は根拠が明確になっているような点があれば再考して評価を改めますので是非コメントください。

 

キャラ

6.0/10.0

レックス

近年稀に見る聖人主人公。とにかく楽天的、前向きで、行く先々で多くの人を感化していく。シンとメツにボコボコにされた後の第七話冒頭で消沈するのもやむ無しなのに味方には殴られ叩かれと散々な目にあう。しかし僅かな望みがあるとならばすぐさま立ち直るまさに鋼のメンタルの持ち主。命を分け与えられたとはいえいきなり現れたおっぱいのでかいおねーちゃんの言うことを愚直に信じてしまう点以外にジュブナイルを感じない。下手な大人よりよっぽど人間出来てるよ君。結局瞳の色について序盤でメツに意味深なこと言われたまま明確には回収されなかったけど、イヤサキ村の歴史からしてもアデルの血族という事でいいんですかね。

ホムラ

存在意義がわからない。結局ヒカリは何故このような人格を生み出したのか?という点の掘り下げが「強大過ぎる力の封印」以外に要素が無さ過ぎて、ただ変身やりたかっただけだろという感想しか無い。ヒカリと覚醒形態とを分けて封印しているのもご都合主義感が漂う。

ヒカリ

テンプレをまんま当てはめたようなあからさまなツンデレだがまあホムラよりはこっちのほうが好感持てるかな程度。ホムラ然りデカ乳の主張が過ぎるのはアデルがそういう趣味だったのが同調時に反映されたと理解した。しかしそう考えるとメツと同調したマルベーニはガチムチアニキが好きなのか?となってしまうが。

セイリュウ

序盤からいきなり良い所見せるじゃんと感心してたらただのエロジジイに成り下がった。500年前から色々な事を見てきているのに情報公開をもったいぶり過ぎ。お前は誰の味方だ。

ニア

可愛いとは思うが第七話冒頭で消沈するレックスを全力でぶん殴るという相撲部屋も驚きのかわいがりを行う役回りのせいで株暴落。癒やしの力を持つブレイドである事を隠したい気持ちと人を救えずに後悔する気持ちの吊り合いが取れていないように見える。あれだけレックスに感化されていたのならもっと早くカミングアウトしててもおかしくないだろう。

ビャッコ

草花は心を癒やしてくれるとは言うが本当はヒカリの露出度に心を癒やされているムッツリスケベアニマル。

トラ

高所から転落させるのが楽しい。

ハナ

問題の第七話冒頭で武力行使すると見せかけて自分の心情をちゃんと告白してレックスの説得を試みるという、人工ブレイドにして誰よりも人間味溢れるこのゲーム最後の良心。トラの性癖といういらん設定によってJK、JDとデザインがクソになっていくのが心底不憫。JDのデザイン考えた奴を超電気分解したい。

メレフ

最初敵で後から味方になる系として凄くいいキャラしてるし時折女性らしさや可愛げも見せるのは素晴らしいが、オトモとして終わってしまった感が否めない。

カグツチ

第七話冒頭で偉そうにかわいがりに加担するクソブレイド。パーティの年長役をやらせたかったのだろうがそれに足るようなエピソードもさほどなく言動の説得力に欠ける。日記をつけてのブレイドとしての在り方への自問は悪くなかったが。

ジーク

メレフ同様オトモで終わった感はあるが割と好き。戦闘BGMがダサ過ぎて最高。加入前までは散々悪運エピソード出してきた割に加入以降は途端に悪運に見舞われなくなる辺りに設定の浅さを感じてしまう。

イカ

気付いた時にはメガネ透けて美少女になってて笑った。

ヴァンダム

ヒカリ復活の生け贄にされた不憫なイケメンオヤジ。悲しいが無為に復活とかさせられなくて良かったと思う。

スザク

俺は生まれた時からスザクだ! はいはいわかってますよおじいちゃん。

シン

最も共感できるキャラ。アデルと天の聖杯の隠遁後、マルベーニの暴挙を止められずラウラを失った己を呪い、世界を呪い、絶望に打ちひしがれた中メツと出会い、亡国に思いを馳せながら仲間を集めて大志を成すべく突き進む。文句無し、お前が主人公だ。

メツ

マルベーニが同調して生み出されたものの、世界を恨み消滅させたいという胸中の具現となり、数百年後には皮肉にも敵対するシンと行動を共にするという立ち位置は良い。しかし最初にホムラを見つけた時はシンも同様だがレックスが触れないよう釘を刺すのが遅く同調を許したり、やられた演技をして後から再登場などドジっ子でお茶目な一面も垣間見られる。そういえば聖杯戦争でアデルとヒカリに負けた後いつどうやって復活したかの描写はあっただろうか?後半で突然モナドを持ち出して1を想起させるような技を使ってくるの、関連は確かにあるのだがこれに関しては何の根拠も無いしちょっと露骨で安直なファンサービスが過ぎるように思えた。そんな浅いサービスは求めてないんだ…。

ヨシツネ

頭脳派気取りは必ず取り乱して無様な姿を晒すことになるという流れの教科書的キャラ。ドライバー同士が兄妹関係にあったことを理由に自分とベンケイも同様だと考えているというエピソードは、ブレイドという悠久のようで刹那の存在が抱く思いの掘り下げとして味わい深かった。

ベンケイ

黒髪パッツン強気美女は全てにおいて許されるのである。

サタヒコ

本作のMVPキャラ。ベンケイに好意を露骨にむき出しにする軟派キャラを気取りつつも内心はヨシツネとベンケイの絆を大切に考えているのはズルい、ズル過ぎる。物語後半ではもう立ち止まることは出来ずレックス達と直接雌雄を決する覚悟でいるシンの意思を汲み取り、マルベーニの横槍からレックス達を庇う。優勝!!!!

マルベーニ

人生良いこと無さ過ぎて世界を憎むのも仕方ないだろうなと同情できる悪役。後半の言動はやや突飛過ぎる気もしたが、レックス達やイーラ相手に直接自分の不憫不幸を曝け出したりはしなかったのが好印象。外壁つたって世界樹を登り降りする肉体派だが大気圏辺りからは流石にエレベーターを使ったのだろうか。

クラウス

彼の半身とガラテアとトリニティプロセッサーのひとつが別世界に飛ばされ、その先が1の世界という設定はまあそういうことなんですねと理解できる。 2の世界の半身については途方もない作業お疲れ様でしたという感想しかない。 1と2の関係性については1のネタバレを含むため分割しますので こちら へどうぞ。

スペルビア兵

大人しくしろってんだ!

印象的な台詞の中に「俺だって!」があるが、これは一体誰と自分を比較しているのだろうか。メレフのようにブレイドとの同調こそ出来なくとも、一国の兵士としての任務を果たす役割は、少なくとも一般人と比べれば誉れ高き事のはずである。そんな兵士達が揃いも揃って誰かと比べたら劣っているが自分だってやってやると言った含みのある台詞を吐き続けている。スペルビア軍の兵士のモチベーション管理には深刻な問題があるのでは無いか。台詞こそ少ないが多くの人の印象に残るであろう趣深いキャラである。

補足

誰がマンイーターで誰がブレイドイーターで、それぞれ何時の時代にどういう仕組みや技術で実現できたのか、歳を取る取らない、姿を変えて隠せる隠せないなど細部を突き詰めていくと面白そうだし反面ボロがありそうという気がするが、正直ストーリーのツッコミ所が特大過ぎてそこまでじっくり思考するまでには至らなかった。

 

レックス一行の「絆」はちょっと薄すぎ、反面イーラの「絆」はかなり感情移入出来るものだった、ということで6.0点中5.0点はイーラ点。

 

バトル

9.5/10.0

面白過ぎる。

ゲームの進行に合わせて徐々に増えていく機能、それをフル活用すると格上も倒せるようになっているレベルデザイン、ドライバーコンボとブレイドコンボを並行する程良い忙しさ、いずれも秀逸の一言。

ハイテンションなナレーションもコンボを決めて上手くやっている感を増幅してくれる。

オートアタックの仕様変更は賛否あるが、3発目でのキャンセルアーツでゲージが増えるという点でリスクリターン管理の面白みが付与されたのでアリだと思う。

クリア後のユニークはほぼ倒さないままとなってしまったが、ストーリー中のバトルはどれもそこそこに手応えのある難易度でひたすら面白かった。

攻撃したら強制ライジングのアレなど、対策が待ちしかない要素がしばしば見受けられたのだけが微妙でやや減点。

 

UI その他システム

3.0/10.0

色々ありすぎるので箇条書きで。

  • マップが全て見えているせいで探索している実感が薄い。
  • アップデートで改善されるようだが、現在地を開くまでの操作が煩雑、ミニマップに映る情報量が少なく縮尺もイマイチで使い物にならない。
  • フィールドスキルを使うためにブレイドエンゲージを変えなければいけないのが面倒過ぎる。
  • 入手したレアブレイドによって個々にストーリーが用意されているのは良い。
  • ブレイド同調がまとめて出来ないのがストレス。
  • コモンブレイドやアイテムをソートしても別項目に移るだけですぐソートが解除される。ソート条件も使えないものばかり。
  • エスト一覧が視認性利便性ともに最低。1でも大概だったが無駄なデザインのせいで悪化しているのは謎。
  • キズナリンクが特定の場所の特定の敵を倒すだとか、数あるアイテムの中からそのブレイドの好きなものをポーチで使うだとか、限定的な条件が多く面倒な作業になりがち。可能なブレイドは傭兵団送りにして該当項目を埋める事も可能だが一部それが出来ないブレイドもいる。
  • ハナの育成のためにひたすらミニゲームをやらされるのが段々面倒になってくる。

 

演出

8.0/10.0

前述したような各所で粗が目立つストーリーでありながらグッとくるシーンも多かった。カメラワークは1に倣ったものになっており、ゼノクロのように棒立ちでメインストーリーが進む事は無し。

ただ演出過剰というか、ストーリー項にも書いたがとにかく操作不可能な場面が頻繁に差し込まれるのは不快。

 

音楽

10.0/10.0

ただただ賞賛を送りたい。

戦闘だけで10以上、各アルスの昼と夜などを筆頭に曲数は膨大。どれもクオリティ高く、フィールドやシーンをしっかりと象徴するような楽曲で多くが耳に残る。

BGMの素晴らしさだけで良いゲームだったのではないかと錯覚しそうになるレベル。

ソフトは売り払ったもののサントラは必ず購入する。