カクゼツ

一般大衆からは隔絶された面倒オタクの独り言。基本的にゲームのことばっかです。

「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」を鑑賞して発生したクソデカい感情を整理した(ネタバレ有)(2019/08/05追記)

まず最初に言っておくが自分はドラクエが好きである。
IIIとVIが特に好きで、音楽に関しては人よりややこだわりが強い。

厳密に言えば近年は「好きだった」になりつつあって、
特に自分の価値観と合わないケースが多々発生しており

こんなことを言い出す、やや手に負えないオールドタイプゲームオタクだと自分を評価している。

だが「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」を見に行ってよかった。
自分はこの映画で堀井雄二からのメッセージを確かに受け取ったからだ。

買うかどうか迷っていたドラゴンクエストXI Sを、買って遊ぼうという決意を固めさせてくれた。


そしてこのような思いを抱いたからこそ、ひとつ書いておきたいことがある。

作中の主人公である「リュカ」の名前について、その原作たる小説版ドラゴンクエストVを執筆した久美沙織氏への、スクウェア・エニックス及び製作委員会による不義理だけは、どうしても許せない。
久美沙織氏の意思を汲んだ上での平和的解決を願うばかりである。

感情を整理するのがとても苦手なので、本編の流れに沿って整理する。
此処から先は遠慮なくネタバレするので、ここまでの文章で少しでも見てみようかという気になった人は絶対に回れ右である。
自分の文章でこの映画の本質を伝えられるとは、正直思っていないからだ。
これはただただ自分が感情を整理するための文である。














































敬虔なドラクエ信者はまず開始0秒で打ちのめされるだろう。
「自分はドラクエV原作の映像作品を見に来たはずなのに、何故ファミコン風の文字が表示されるのだ」、と。
自分もそうだった。

子ども時代の話はゲーム画面ベースでほとんどスキップである。
フローラと最初の船で会っている設定はいつぞやのリメイクで投入されたものだと記憶しているが、
それSFCのグラフィックでわざわざやることか?



サンタローズや主人公達の家が常に雪に覆われている。

奴隷生活が始まってから脱出に至るまでもあっという間だしマリアに至っては姿形も無い。

えっもうサラボナ行くの?

スラリンとの邂逅もゲレゲレとの再会も唐突。ビアンカのリボンなんていらなかった。 っていうか他の仲間モンスターは?そのうち増えてくのか?

ブオーンwwwwwwwwww なんでお前がもうおるんやwwwwwwwwwwwwwwww

いやビアンカ…お前…もうちょい声どうにかならんかったんか…

まーたファミコン風演出ですか…

は?子どもの名前がアルスだぁぁぁぁ!?!???!?!???双子じゃない!??!????!?!??
リュカの名前使っといておめーティミーとポピ
大体BGMもVなのに天空編の他ナンバリングの曲を使いまくりであのs


と、この辺で考えるのを辞めた。
ダイジェスト的なものに期待してはいなかったけど、原作への思い入れを全て断ち切って、設定を活かした別作品だと思えばいい。そう考えれば、ダイの大冒険とかロトの紋章だって同じ土俵だし、それこそ久美沙織の小説だってそうじゃないか、と。2時間に収めるために堀井雄二も一緒に頭捻って頑張ったんだろう、と。

プサンと再会した時の台詞などなどで色々と察することがあったのだが…


紆余曲折を経て大神殿でのゲマ率いる魔物たちとの決戦。
ヘンリーとブオーン出してくるの~~コテコテだけどオリジナリティあっていいね~~~やるじゃん!!!
みんながんばれしてミルドラース復活の直前に天空の剣で封印したかと思ったその矢先…!



はいくると思ってました~~~~メタフィクション~~~~~映画の中のゲーム~~~~!!!!
いっぱいゲーム遊んできたおじさんは何度も見たことあるやつ~~~知ってた~~~~~~!!!!!

ミルドラースハッカーが仕込んだウイルス!
「大人になれ!」のメッセージ!こんなゲームにまじになっちゃってどうするの!ってか!

はームカつくこと言ってくれちゃって~と、ここでスラリンが実はアンチウイルスプログラムだった!うおおおおおおこいつを使え!!

ロトの剣を授かってウイルスを一刀両断じゃああああああああああ大人になれとかなんやねん知るかいなあああああああああワイのゲームの想い出舐めんなああああああああああ今もそれに浸って何が悪いんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああズガシャーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!













はい、ここで冷静になって解説なんですけど、

これ全部ね、「映画の中のゲーム」の話なんですよね。
現実の我々が愛したドラゴンクエストVなんて一言足りとも言ってないんですよね。
そりゃ色々と違うに決まってますよね。

ドラゴンクエストV」に並々ならぬ想いがあって、その物語自体に大きな期待をした人がこのオチで崩れ落ちる気持ちもわかります。

でも全部納得できちゃうんですよ。
だって、我々が現実でいつか遊んだ「ドラゴンクエストV」、この映画の主人公がいつか遊んだ「ドラゴンクエストV」、そして主人公が体験している「ドラゴンクエストVのシミュレータ」がすべて同一のものであるなんて、どこにも明言されていないから。

根も葉もない噂かもしれないけど「監督がエアプ」だったとしても、このドラゴンクエストVを原作とした物語自体がそもそもフィクションの中のフィクションだから、なーんの文句もつけようがないんですよ。本当にうまいことやったと思います。

こんな内容のゲームが現実世界に産み出されたらブチ切れるどころじゃすまねえけどな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

でね、たとえそんなフィクションの中だろうが子どもの頃に「フィクションの中のドラゴンクエストV」を遊び、心に刻み、「大人になった今もゲームの想い出を大事にして、追体験に浸りたいと願う主人公」の気持ち、本当に本当に本当に強く共感できるし、これを主人公が発露した時に自分の目頭に感じた熱いものに間違いは無かったです。

これが、この映画が、「ゲームに対して真剣になったことがある人、想い出を大切にしている人」の完全なる肯定でなければ一体何なのだろうか?

なんでそこでロトの剣やねん!!!って普段ならなるけど、もう感情がすべてに勝ったということを自覚しました。

そしてこんなメッセージを受け取ったからこそ、だからこそ、主人公が「リュカ」の名前に込めた想いを、この映画を見た我々が、純粋に受け取ることが出来るようにしてほしかった。
これは今でも引っかかっているし、逆に言えばここさえ解決すれば、多分何のわだかまりもなくこの映画を絶賛することが出来るようになると思う。

ひとまず、と言わせてもらうが、そして何と戦ってるのだって感じだが、あんたらの勝ちだ!!!

山崎貴!!!!!

そして他の誰でもない
堀井雄二!!!!!!!


今も昔もゲームに真剣な自分を肯定してくれてありがとう!!!!!


ドラクエをもう少しだけ温かい心で見守ろうという、そんな気持ちになりました。



(2019/08/05 追記)
映画の中の主人公がとても鼻につくという意見を見かけてちょっと考えました。

なんか突然ビビってクヨクヨしだすの何なのとか、花嫁選びについての態度が軽々しいとか、ブオーンに対して剣を突き付けながら吐いた言葉が酷いとかで、こいつ(この映画の世界における)ドラゴンクエストVに大した思い入れあるわけじゃないだろう、一緒にすんな。
などと感じる人がいるというのも、わからんでもない。

でもそんな奴でも主人公の名前は「リュカ」に決めてるとか、そういう自分なりの「愛」を持っているわけで、その多寡を勝手に量って優劣つける権利なんて誰にも無いんですよね。
この考えは恐らくあまり意識せずそういうもんだとうっすら自分の中にあったとは思うんですが、こちらのえどきさんの感想を読み「確かにその通りだなあ」と思わされた言葉があったことによって言語化に至りました。この場を借りてお礼申し上げます。

edoki-lifies.hatenablog.com


そういう点に鑑みて、自分が受け取った堀井雄二からのメッセージをより正確にするならば「程度はどうあれゲームを愛し、想い出を大切にしている人」の完全なる肯定 とすべきかな、と思った次第です。